この社長の言葉は冷たいの?
「信頼はするが期待はしない」
それはとある社長が言っていた言葉。
これは自分の会社で一緒に働いている
従業員さんに向けての「言葉/想い」でした。
私自身も経営者として、まもなく10年になろうとしていますが
この言葉を事あるごとに思い出します。
表面的にみれば、厳しくネガティブな言葉に聞こえかねないですが
聞いた時には、すっと腑に落ちました。
これは大事な仲間を守ることであり、自分をも守る考えであると思えたからです。
「信頼はするが期待はしない」

「わたしも相手も」それぞれ自分の大切な時間を生きている。
自分の人生は、誰しも自分のもの。
「ずっと辞めないで一緒に働いてね」
「ここでの仕事が好きでしょ?」
期待というのは、うっかりすると止めどなく
どんどん膨らんでいき、相手の人生までをも深く浸食することもある。
人はそれぞれ「ある時」方向転換をすることもあれば
より良いと思う環境を自分自身で他に切り開くこともある。
お互いに信頼というものが、もし築けているのならば
それだけで充分幸せな関係性が構築されているのではないか。
また特に自分を守るという意味では
この考えをコンスタントに持っておくことによって
「最後は自分」
という覚悟をしっかり腹に落とし込める。
そうすれば、急に自分の元から大事な人が去ったとしても
必要以上に狼狽えない自分がいるはず。

因みにここまでの話は
優秀な人材を想像して話していたのですが
優秀だからこそ、もっともっとと、過度な期待を押し付けてしまいがちです。
そこは一呼吸おいて、優秀な人だからこそ
自主性を見守っていくことが何よりも経営者としては
大事にすべきことだと思っています。そして対価は形にして表すこと。
因みに、さきほどの
社員さんに対して「信頼はするが期待はしない」と笑顔で語っていた社長は
50代半ば、肺癌で亡くなりました。
優しくユーモアたっぷりな人でしたし、とても人間味溢れる明るい人でした。
一緒に働いてくれる仲間との距離感
この約10年、仕事を通して沢山の仲間に出会って
いい別れというものも、いくつもありました。自分でビジネスに果敢に挑んでいる
人もいます。
先日、その彼女(まだ25才!)からお手紙をもらいました。経営者となった葛藤と
将来に向けての前向きな気持ち両方が書かれていて、
それは美しい字でした。彼女の人となりを表しているようなそんな素晴らしいものでした。
この先も、数々の別れがあると思いますが、
常日頃から過度な期待で相手をがんじがらめにせず、
離れるときが来たら、心から今までありがとうという気持ちと共に
次のライフステージに進んで行く仲間を、拍手喝采で送り出していきたいと
この先もずっと思います。